このような疑問にお答えします。
私は、コインパーキングの設計・管理・運営をする会社で15年間勤め、コインパーキングに関する様々な知識や情報を身に付けてきました。
そんな中で、車高が低い車が利用しやすい、または利用しにくいコインパーキングとは一体どんなものかを考えるようになりました。
という事で今回は、車高が低い車におすすめなコインパーキングの選び方をご紹介しようと思います。
車高が低い車におすすめなコインパーキングの営業形態
車高が低い車におすすめなコインパーキングの営業形態は、結論から言うときちんと舗装された前払いチケット式のコインパーキングか、フラップレス式のコインパーキングです。
車高が低い車にとって駐車の障害となるロック板が無く、料金の支払いも車から降りた状態で出来ることが主な理由となります。
コインパーキングには様々な営業形態があり、他にもロック板式やゲート式などがあります。
コインパーキング業界に長年勤めている筆者からすると、ロック板式やゲート式のコインパーキングは、車高の低い車にはあまりおすすめ出来ません。
その理由を含め、次からはコインパーキングの営業形態別に、より詳しく解説していきます。
ロック板式
コインパーキングによくある営業形態として、ロック板式があります。
1台1台ロックされるので、特に台数の少ない都会や繁華街などに多く見られるコインパーキングの営業形態です。
飛行機のフラップのような形状をしており、車室の真ん中の左右どちらかに設置され、車を入れるとしばらくしたら上がってくるアレです。
さて、このロック板式が車高の低い車にとっておすすめかと言うと、私の意見としては数あるコインパーキングの営業形態の中では最もおすすめ出来ません。
まず、そもそもロック板を乗り越えて駐車する必要があるので、その時点で車高が低い車にとってはハードルが高いです。
また、ロック板はスロープのような形状にはなっていますが、そこそこ高く、ある程度勢いをつけて乗り越える必要があります。
それに加えて車止めや段差があると、下回りやエアロをヒットする可能性がかなり高いです。
このような理由から、ロック板式のコインパーキングは、車高が低い車については最もおすすめ出来ないと考えます。
ゲート式
次に、ゲート式のコインパーキングをご紹介します。
出入口にバーがあり、上がったり下がったりしているアレです。
このゲート式のコインパーキングが車高の低い車におすすめかと言うと、私としては微妙だと思います。
確かに、ロック板式と比べるとバーをくぐるだけなので、ハードルが低いように思われますが、悪魔は出口に潜んでいました。
つまり、車を出す時、精算機の横に車を付けて料金を支払う訳ですが、この時に車高が低いと苦労する事になります。
当然ですが、精算機の高さというのは小型のバスやトラック、SUVやオフロード車でも利用出来るようになっているので、決してめっちゃ低い位置にはありません。
つまり、車高が低い車にとって精算機は、とても高い位置にある可能性が高いのです。
かといって、精算機の横に車を付けているのに、いちいち降りて料金を支払うのは、どう考えてもダサい光景ですよね。
という事で、筆者的にはゲート式のコインパーキングは、車高の低い車にとっては微妙という結論になりました。
前払いチケット式
次にご紹介するのは、前払いチケット式のコインパーキングです。
車を停めてから、離れた場所にある精算機までチケットを買いに行き、ダッシュボードの上などに掲示する方式で、最近になって増えてきた営業形態です。
この前払いチケット式、車高の低い車におすすめかと言うと、結論割りとおすすめ出来ます。
なぜなら、ロック板も無く、ゲート式のように車の中から料金を支払う必要も無いからです。
ここに来てようやくおすすめ出来るコインパーキングの営業形態が出てきた訳ですが、ある1点だけ欠点があります。
それは何かと尋ねたらベンベン、前払いチケット式のコインパーキングは舗装ではなく砂利のケースが多いのです。
そもそも、この前払いチケット式のコインパーキングは、設備が少なくて済み、コストが掛からないという特徴があります。
精算機と看板、あとは照明くらいがあれば運営出来てしまう訳です。
また、比較的台数の多い広大な敷地に採用される営業形態なので、ローコストを意識してかアスファルト舗装がされておらず、砂利のことが多いです。
車高が低い車で砂利の道を走りたくはないですよね。
さらに言うなら、車を大事にしている方ほど、未舗装の砂利は避けると思います。
よって、めちゃくちゃおすすめではなく、割りとおすすめ出来るという評価にとどまりました。
フラップレス式
最後にフラップレス式のコインパーキングですが、これはめちゃくちゃおすすめ出来ます。
ロック板が無く、料金も離れた精算機で支払い、舗装もされている事が多いからです。
フラップレスとは、文字通りロック板が無いコインパーキングの営業形態で、近年急激に増加傾向にあります。
どのように駐車車両を管理するかと言うと、カメラでナンバープレートを読み込んで料金を計算したり、地面に埋めたセンサーで車を感知したり、駐車スペースの後方にセンサー内蔵のポールを立てて管理したりと、実に様々です。
舗装に関しては、地面にセンサーを埋めたり、ポールを立てる都合上、アスファルト舗装がされている駐車場が多い印象です。
まさに車高が低い車にとっては救世主のような駐車場で、この営業形態のコインパーキングは低リスクで停める事が出来ると言えるでしょう。
ということで、数あるコインパーキングの営業形態の中で、車高が低い車におすすめ出来る堂々の第1位は、フラップレス式のコインパーキングとなりました。
車高が低い車に向いていないコインパーキングの特徴
ここまでで、営業形態別にシャコタンに向いているか向いていないかの話しをしてきましたが、営業形態以前に、そもそも造りや周辺環境が車高の低い車に向いていない事があります。
例えば、めちゃくちゃ急な坂があるとか、高い段差があるとか、出入口の交通量が多くてゆっくり出入りしにくいなどです。
コインパーキングでも変形地に設置される事もあるので、時々かなりトリッキーな場所を見る事があります。
小さな段差でも、勢い良く突っ込んでしまうと大惨事になり兼ねないので、出来るだけフラットで平坦な場所をおすすめはしています。
また、ゆっくり出入りが出来れば、少しくらい段差があっても斜めにゆっくり走る事で乗り越えれる事もあると思うので、周辺の交通事情も1つのポイントになるかもしれません。
ロック式かゲート式かという議論の前に、基本的な面を大切にするのもアリかなと思いました。
車検に通らない程の車高はコインパーキングの利用NG
そもそもですが、車高が低いと言っても車検に通らないくらい低い場合だと、どんなコインパーキングでもリスクがあります。
例えば、駐車スペースの後方に設置される車止め(タイヤ止め)は、高さが10センチ弱あるのが一般的で、もしこれに車検非対応のシャコタン車が突っ込んだ場合、クラッシュ必然です。
同じような理由で、ロック板も高さが高いところでは10センチ以上あるので、最悪の場合は腹下をヒットして亀さん状態(タイヤが接地せず空回り、踏切とかでよく起こるやつ)になる可能性すらあります。
車止め(タイヤ止め)は基本的にどんな営業形態のコインパーキングでも設置されている事がほとんどなので、車検に通らないレベルのシャコタン車は、車止めの手前で車を停めるという特殊な技術が必要になります。
また、コインパーキングの利用規約でも、最低地上高に関する定めがあることがほとんどで、車検に通らないレベルだと利用自体を禁止している場合さえあります。
コインパーキングは基本的に一般の市販車に合わせて設計されているので、特別な改造がされている場合は、注意しないといけません。